あぐり 第七週
第七週、サブタイトルは
「夢は美容師」なんですが、
もう一つのサブタイトルは
「来訪者たち」ってところですかねえ。
それぐらい、東京からの来訪者が多かったですね。
まずは御大。
エイスケが仕送り持ってどっか行ったことなぞ露知らず、岡山から東京にやってきました。
が、あぐりの留守中に質札(質屋を利用しているという借用書みたいなもん?)を発見、
お隣のうめさんと春子さんに事情を聞き、さらには世津子さんのカフェでエイスケの噂話を耳にして、
あぐりとエイスケの東京での爛れた生活を
知ることになるのです。
(余談だけど、お隣のうめさんと春子さんに盗人扱いされて箒で叩かれるシーン笑ってしもた。天下の里見浩太朗ぞ!?心なしか箒を持つ菅井きん氏に遠慮が見えた)
爛れた生活の全容を知ったときの
御大の反応で、
あ、やっぱり先週のあれって
一般常識だとどうしようもなかったんだ!
やっぱりエイスケさんダメな男の部類なんだな!
と再確認しました。(普通わかるだろ…)
それぐらい、先週はツッコミ不在のメルヘンワールドだったっす(笑)
あぐりに一緒に岡山に帰ろう!と言うも、
あぐりは「エイスケさんが好きだから東京で待つ」と固辞。
妻に「エイスケはもうだめだ、勘当や!」と言えば反発され、逆に日頃の鬱憤が爆発し、
淳之介を連れて出奔される始末。お、御大…。
そんなこんなで、第二の来訪者はお義母さん。
淳之介を連れてきたので、あぐりは大喜び。
こんときの淳之介がよお、可愛くてよお!!
ほっぺぷにぷにで、ニコニコしてて!!
もう、このために見てきたなって!!
本当に可愛い赤ちゃんでした。
あぐりにああしろこうしろと
家事の指示をするお義母さんですが、
あぐりは特に不満そうにすることもなく
てきぱきてきぱき。
い、いつからそんな
てきぱきできるようになっただよ…成長したね…
やればできる子だったんね…しんみり。
そして、あぐりの夢の話を
鈴音ちゃんから聞き、
かつて夢を諦めた自分、ずっと御大の為に尽してきた自分の人生を省みたのか、
淳之介は自分が預かるから、あぐりは夢を追いかけなさい、と応援することを宣言。
この展開は予想してたけど、
分かっててもなんかジーンと来たなぁ。
これで東京で淳之介の面倒を見ることの名目がたったしWin-Winだ
第三の来訪者は、エイスケの姉の苳子。
こうやって東京にも行かせてくれるなんて、
嫁ぎ先、かなり心広くねえか…?
と真っ先に思ったおれ。
旅行代だってタダじゃねえわけだしな。
まあこまけぇこたぁいいか…。
さすがのあぐりも苳子には
少しうんざり気味ではあるんだけど、
憎めないところがこのドラマのいいところ。
鈴音ちゃんと苳子の喧嘩のなかで、
あぐりの美容師の夢話が出てきて
お義母さんの知るところになり、
結果的にはいい方向に向かいましたね。
(鈴音ちゃん、あぐりの人生動かしてるなあ…)
岡山に帰るときの、光代さんに対しての
何処か寂しそうな苳子の表情が
とても印象的でした。
貴理子、意外と演技できるんジャン!
おれっち君のこと見直したぜ!
一方あぐりは、鈴音ちゃんに連れられて
チェリー山岡の経営する美容室にきて、
ひょんなことからマネキン(今でいうところのモデル?)をやることに。
着飾ってもらって、素敵だ似合ってると
チェリー先生や周りに言われて、あぐりはとても満たされた様子。
かつて岡山で、エイスケに洋髪を褒められた際の
心のときめきを思い出したのかもしれません。
夢の話といい、人は自分の世界を持たなきゃいけない!という今週のテーマといい、ここらへん、脚本の布石がさりげなくも細かいよね!
また、チェリー先生の信念に触れ、
自分の生き方について考えるようになったあぐり。
おっぺけぺーな先週と比べたら
なんと大人になったことか…
なんか、しみじみ見ちゃったよ。
料理もできるようになったし!
洗濯物だってちゃんと干せるようになったしね!
チェリー先生に憧れを持って、
求人募集が出てたら応募するよなぁ。
憧れの人だもんな。
一度は諦めかけるも、姑の光代の助けも得て、
晴れて内弟子になることに。
これもまた、あぐりが大人の階段を登る
第一歩なんだね。
あぐりの人間としての成長を、
演じている田中美里さんの女優としての成長に重ねて展開する。
フォローは草笛光子さんや星由里子さん、
名取裕子さんや里見浩太朗御大と完璧。
完璧や、完璧すぎる。
ううむ、これこそ朝ドラの真髄よの!
第七週は、ただエイスケさんを待っているだけだったあぐりが、
鈴音ちゃんや森さんや燐太郎さん、チェリー先生たちと接する上で
「自分の世界を持たなきゃだめなんだ」と気付き、美容師への淡い夢を抱き始める回です。
このドラマでの『自分の世界』っていうのは、
生きる目的とか夢のことを指すのですが、
そのことに目覚める流れが、
とても自然でさりげなくて良かったです。
また、夢を諦めた御大や光代さんの
現実的な目線も挟んでいるので、なんか、とても考えさせられたなあ。
私はね、このドラマの
説教臭くない爽やかなメッセージ性と、
シンプルさ、それと自由さが好きなんです。
シニカルで現実的な展開を、
生真面目だけど明るく表現しているところも。
テンポ重視で極力説明を省いた脚本で、概ね視聴者に判断を委ねる形の朝ドラだと思います。
だから、視聴者それぞれ異なった答えや印象を持つ。
全て自由なんです。
それでいいんです、正解は人それぞれ違うんですから。(ボブ・ロス的思考)
人によっては、あぐりもエイスケさんは
酔狂で何も考えてないただの子供。
しかし、あぐりは優しい明るさと前向きさを内包しているし、エイスケは書けないことに苦しんでいたり、父親への反発心を燻らせて早く大人になりたい少年でもあります。
エイスケの姉の苳子も一見ただの嫌味な小姑。
でも、一方でどこかナイーブなところがあって
親思いな面もある。結果的にあぐりの人生を動かしてたりする。
姑の光代も暴走しがちだが心優しい面もある。
人間って、そういうものだと思うんです。
完全な善人もいなければ悪人もいない。
ブルーハーツの歌詞の世界だね(!?)
次回予告担当は苳子!
キャラになりきって意地悪そのもので、
思わず笑っちまったい。
来週からは美容師としての修行週。
ここらへんあんまり記憶にないから、
新鮮な気持ちで見られそう。
今週はチラ見せ程度の出番しかなかった
辰子さん(鈴木砂羽さん)も
本格的に出番増えそうだし、
チェリー先生の娘(吉野紗香さん)も出てくるしな!
あっ、エイスケさんのこと忘れてた!
結構なことをしてどっか行ってたのに
悪びれもせずに帰ってきたのには笑いましたが、
どうやらリフレッシュされて
いい新作が書けた様子。
スランプからは脱したんだね、良かったね。
光代さんが淳之介と共に東京にいても
特に事情を聞くこともなく、
妻が自分そっちのけで子供服を縫っていても何も言わず、むしろコーヒーを入れたり縫うのを手伝ったりする。
チェリー先生に内弟子合格と言ってもらえたのも、夫が手伝ってくれたって事実が大きい気がするよ。あの時代からすると異例だよね、きっと。
自分の自由も大切だけど、
他人の自由も尊重するところが、
エイスケさんの魅力なんだろうなあ。
しかし手先器用やね。
美容師の方が、もしかしたら向いてるんじゃね?(笑)