ドラマ『眠れる森』を理性的に見た感想

『眠れる森』は、1998年の秋にフジテレビ系列で
木曜22時に放送された連続テレビドラマです。
TVerで配信されていたので、これ幸いかと飛びつきました。
今回は初見ではなく、再見です。
よほど好きなドラマでなければ何度も見返しはしない主義なんですが、
数十年前に初めて見て、面白かったという記憶&どうしても屋上シーンを見返したかったので
今回、再見という運びになりました。
そして、見返した感想。端的に要約すれば、
「『客観的に見れば』名作だ」けど
「『主観的に見ると』好きなドラマではない」です。
特に、最終回のラストは、小一時間ぐらい文句を言いたい(笑)
以降ネタバレしてます!
あらすじ
蘭の植物園で働く実那子(中山美穂)は小学生の時、家族を交通事故で失い、そのショックで当時の記憶が曖昧だ。そんな実那子は3カ月後のクリスマスにエリート商社マンとの結婚を控え、幸せの絶頂にいた。ある日、実那子が新居への引っ越しに備えて荷物の整理をしていると、幼い字で書かれた差出人不明の手紙を数通見つける。それは少女時代貰ったラブレターだった。その中に「15年目の今日、眠れる森で逢いましょう」と謎めいた文章を見つけた実那子は、故郷の森に出かけ、そこで自分の過去を知る謎めいた青年、伊藤直季(木村拓哉)と出逢う。
貼り付け元 <https://fod.fujitv.co.jp/title/00nn/>
良かったところ
●緻密な脚本
まず良かったところとして挙げるべきは、
なんといっても脚本でしょう。
序盤3話を見返している最中は、正直かなり退屈だったけど、
全話完走してみてから振り返れば、あの試運転のごとき平坦さが、
今回の作品においては『短い平穏な時間』であったんだろうなと感じます。
主人公である実那子(変換しにくいなこの名前!)はもちろん、
直季や敬太や由理、そして真犯人である輝一郎にとってさえも。
この『短い平穏な時間』があってこそ、終盤の死の連続や
輝一郎の狂気が映えますものね。
いやでも1話2話はものすごく我慢して見た
小説のような実那子や直季のモノローグも、
どこか神秘的でおとぎ話のような雰囲気に包まれた設定ややり取りも、
その奥に隠された人間の狂気も…。
実那子と直季、直季と輝一郎、輝一郎と敬太。
由理と春絵(横山めぐみさん)、直季の父と輝一郎の父、そして輝一郎と国府。
いろんなキャラクターたちが対になっていたり、
もしくは似た者同士のようになっていて、
物語が佳境になればなるほど、哀しい結末へと加速していくのが
見ていて辛かったけど、でも見るのを止められんかったい。
中盤あたりから、見ていて何度
人間描写の細やかさに感心したことかわからないです。
正直、見終わってみて思うのは、まともな人は少なかったなということ。
登場してくるキャラのほとんどが、
誰かに対して何かしらの思いを抱えて、暴走したり、悲しんだりしていましたよね。
直季は、自分の記憶を共有した実那子に恋をして、ずっと見守り続けていた。
自分の幸せなどおかまいなしで、周りに愛してくれる人がいるのにも気づかずに。
(そして、結果的に親友と恋人を失うことになってしまった)
敬太は、ギャンブルに明け暮れて借金地獄に陥っていて
輝一郎の依頼によって、幼いころからの親友の直季をずっと裏切り続けていた。
また、大学時代から思いを寄せていた由理を殺してしまう。
(結果的に罪悪感と自分への嫌悪感に耐え切れず自殺)
由理は、一方的に別れを告げられても
直季への思いを捨てきれず、ずっと直季に縋り続けていた。
そして、直季の役に立ちたいと、サンタクロースに独りで会いにいき
結果的に殺されてしまう。
輝一郎は、国府と実那子姉が交際していることに嫉妬し、
実那子一家を殺害。そしてその罪を国府になすりつけていた。
そんな歪んだ人間になってしまったのも、
母親からの虐待と、その母親の失踪が原因だと思います。
(最終的に国府に恐怖を刷り込まれる形で刺され、精神病院行きへ)
国府は、駆け落ちを約束した最愛の女性である実那子姉を輝一郎に殺され、
輝一郎への最高の復讐をずっと模索し、あえて刑務所に入り続けていた。
春絵というパートナーに愛されても、
実那子姉の無念を晴らすことへの執念と、輝一郎への憎しみは消えなかった。
今後もずっと輝一郎への憎しみは消えないんだろうなと思います。
ミステリー部分も、回を追うごとに新事実が
実那子のフラッシュバックと直季たちの調査により判明していくのが
見ていて面白かったんですけど、このドラマに関しては、
人間ドラマとして脚本がよくできていたと、私は感じました。
基本的に静かで品がある落ち着いたドラマだったので、
そのぶん国府の直季襲撃にはびびった。
由理の死や屋上シーンもかなりキた、
最終回での輝一郎の狂気や、国府の復讐、実那子の出した答えなども良かった。
ばらばらに散らばっていたパズルのピースが、
見事に一つになったと思いました。
輝一郎の母親は結局なんだったんだよ!とか
輝一郎が実那子姉に恋してたとか伏線弱くね!?とか
国府あそこまで直季ボコボコにしなくてもよくね!?とか
そもそも直季はなんで実那子と輝一郎に
あんな中途半端な嫌がらせしたんだ!?とか
疑問に思う点もあるけど見て見ぬふりをする!
●役者の演技
このドラマに関しては、ユースケ・サンタマリア氏と陣内孝則さんの演技がとびぬけていたと思います。
そもそも今作を見返そうと決めたのも、
11話での直季と敬太の屋上シーンをまた見たかったからだし。
数十年前に初めてこのドラマを見て、
衝撃的だったのが屋上シーンだったんです。
覚えている数少ないシーンでもあります。
衝撃を、また真新しい鮮明なものにしたかった。
そしてその願いが叶いました。
数十年前は子供だった私も、今は立派な大人です。
でも、屋上シーンでの衝撃は変わらなかった。
時代を超えて、名シーンだという証左になるのではないでしょうか?
それぐらい、『眠れる森』というドラマにおいて11話は傑出しています。
直季と敬太の屋上シーンは特にとびぬけていました。
屋上で、もううっすら敬太が由理を殺したんだ
と気づいているような直季が悲しすぎる。
由理の幽霊がまだそこら辺にいるかも、
と直季に言われて怯える敬太が辛すぎる。
すぐに核心をつくのではなく、徐々に敬太を問い詰めていく直季と
どんどんひょうきんな表情が無くなっていく敬太。
お前が殺したんだろ?と親友に聞かなきゃいけない直季の気持ちを考えたら、
ふっと目をそらした敬太を見たら、
殴るんじゃなくて、抱きしめるんですよね。
あー悲しい。
なんでこんなことになっちゃったんだろうなって。
視聴者の私が見ていても思うんですから、
直季や敬太は尚更でしょう。
このシーンは全てが神がかっています。
奇跡的な出来だと言ってもいい。
(ネタバレすぎる手前、ドラマ名場面SPとかでは取り上げられることはないのが残念ですが…)
吉俣良さんの音楽はもちろん
(全体的に音楽良かったけど、このシーンは特に良かった、調べたら『Road』という曲らしい)
演出もいい。映像もいい。東京タワーをバックの悲しすぎる場面。
でもやっぱり特筆すべきは、ユースケ氏の演技なんだよね。
由理が好きだったから、
由理を俺の女にしたかったから
俺の手で由理の人生、止めてやったんだ
俺の女になったんだ
あんなに明るくて、由理の笑顔が俺の心の支えだと言っていた人間が、
由理の気持ちを考え、直季とよりを戻すように取り計らっていた敬太が、
敬太のいう自称『クソみたいな人生』に、心まで黒く塗りつぶされてしまった。
由理がこと切れたあと、笑顔で抱きしめる姿も
笑いながら「由理をお前から奪ってやった、もう俺のもんだ」と煽る姿も、
見ていて悲しかったです。
でも一番悲しかったのは、敬太の心が黒く染まり切れなかったこと。
どんなに平気なふりをしても、直季に悪態をついても、
心の奥にある由理への罪悪感や、とんでもないことをしてしまったという恐怖や
自分の情けなさから完全に目を背けることはできなかった。
だから死のうとしたし、取り乱したと思うんですよね。
ここらへんの役者二人の演技もすこぶる良かった。
演技とは思えないぐらい迫真であったと思います。
人生にやり直しなんかない、生きていくしかない
これがテーマだったのかな。
どんなに辛いことがあっても、人間は現在を生きていくしかない
はー。
そんなテーマ掲げてなんで直季殺すねん…
11話がピークで、最終回大丈夫か?
と思いながら見てたんですけど最終回も良かった。
主に輝一郎役の仲村トオルさんの演技と
直季に真相を話す輝一郎は、サイコパスそのもので
静かに狂っている感じがたまりませんでしたし、
俺だけか?異常なのは…と直季に詰めるシーンとか良かった。
ミステリードラマって、犯人に説得力がないと
途端にどっちらけになりますから。
ここでいう説得力というのは、動機とか、トリックとかもありますが、
キャラクターとしての説得力、演技力としての納得感。
そして強敵感といいますか、まあそんな感じです。
陣内さんも良かった。
このドラマはユースケと陣内さんに惹きつけられて
完走したといっても過言ではない。
輝一郎を刺した後のセリフが印象的でした。
心配するな、急所は外してある。死にはしないよ。
どうして…ちゃんと殺せよ。
俺はまた刑務所に入る。仮出所になって、またお前を刺しに来る。
どこに隠れたって必ず見つけ出してやる。
次もまた急所を外してやる。
俺は捕まって、何年かたってまたお前の前に現れる。
一生それの繰り返しだ。
俺がお前の前に現れるたびに、
お前にはこういう傷がまた増えていくんだ。
分かるか?濱崎。
これが、お前が一生をかけて味わう地獄だ。
お前にふさわしい地獄だろう?
このシーンの陣内さんの演技がまた良くて!
善良で優しかった国府が、恋人を殺され、
無実の罪で投獄されたことで、ここまで極めてしまったかと思うと
少し悲しくもなります。
善良な役も悪役もできる陣内さんでこそ成立した役ではないでしょうか?
ただ、連行されるときに実那子に向かって
「実那子ちゃんを傷つけるつもりはなかったんだ」と言い残すんですが、
いや、結構ビビらせてたよねあなた…と思った。
それとも私の記憶違いなだけで、主にビビらせてたのは直季と敬太?
そこらへん曖昧です。とりあえず視聴者を震撼させ、
実那子や直季や輝一郎をビビらせるという役割には大成功でしたね。
●音楽の良さ・映像の美しさ
まずは音楽。
吉俣良さんの音楽はどのドラマも素晴らしいのですが、
このドラマもご多分に漏れず良かった。
既に上述した「Road」の良さは言うまでもなく、
このドラマの代名詞として名高い「黒の慟哭」も素晴らしい。
11話だったかな?10話?
主題歌である「カムフラージュ」の代わりに「黒の慟哭」が
あの有名すぎるタイトルバックと共に流れたときは鳥肌がたちました。
そしてなんといっても「カムフラージュ」!
竹内まりやさんの代表曲のひとつかな?
このドラマの影響が大いにあったことと推測します。
映像の出来については、制作するテレビ局によって、
もしくは演出家によってさまざまなアプローチの仕方がありますが、
今作『眠れる森』に関しては美しさと儚さを重視したように思います。
一家惨殺犯が逃げる姿を見ていた聖母マリア像、
夜の東京タワー、
ハンモックに佇む直季、
一瞬を切り取っても、絵になる場面が多かった。
出ている人ほぼ全員美男美女だしな
おとぎ話のような雰囲気を纏った脚本に
良くマッチしていたんじゃないかな。
美しい…あー美しい~と見てるだけで目の保養になりました。
ツッコミたいところ
●主役二人のキャラが薄かった&いまいち萌えなかった
当時は大スターの二人。念願の共演。
ともなれば、話題になりますよね。
なるほど、見た目的にはとても美しい二人です。
同じ記憶を共有するソウルメイト。
ずっと見守り続けた初恋の相手。
実は腹違いの姉弟。
キャラの属性的には、
実那子と直季は盛り過ぎなぐらい盛り盛りの関係性なんですけど…。
なんでだろうな、設定的には気持ち盛り上がってもおかしくないはずなのに。
いまいち二人の関係性にハマれなかった。
脚本に不備があったわけじゃないと思うのです。
二人の関係性は相当深いものだという描写は十分あったはず。
二人の演技だってケチをつけるところはひとつもなかった。
それなのに、二人のシーンはなぜか、理性的に、冷静に見ちゃった。
「なるほどね~そういう展開なんだぁ」みたいな感じでね。
実那子と直季父(夏八木勲さん)、
直季と直季父
直季と敬太、
輝一郎と国府、
このケミストリーの方が、見ていてグッと来たのよね。
キャラクターたちのヒリヒリとした思いや哀しみや苦しみが、
見ているこちらにも伝わってきたから。
なんでなんだろうなぁ、としばし考えた。
実那子自体が、人にあまり弱みを見せないからなのかな?と。
直季が序盤で、実那子にやらかして、由理にも冷たかったからなのかな?と。
また、直季の実那子への一見ストーカーのようなやらかしが
ちょっと中途半端だったってのもあるかもしれない(笑)
こちとら渡部篤郎のストーカードラマ見てるからさあ。
モックンの付きまといドラマも見てっからさあ。
だから直季の嫌がらせはしょぼく感じた。
心なしか実那子も大してびくついてなかったし(笑)
実那子の本当の父親が直季の父であったことが判明して
直季が耐え切れず実那子に別れを告げたときも
本来ならうるっとくるはずなんだけど、ここも冷静に見てしまった。
「えっ唐突じゃね?今さら?いや理由は分かるけどなぜこのタイミング?」
って思っちゃったのよ。
直季が国府に襲撃されてボロボロになるシーンは、
二人の演技に吸い寄せられるように集中して見たのに。
直季が自分の父を問い詰めるシーンは、息を止めるぐらい全集中だったのに。
さすがに由理が亡くなったあたりからは、
直季があまりにも可哀想で、実那子と直季の姉弟という関係性に
救いを見出し始めましたが。
(それ以前に直季父と実那子の場面が相当良かったというのもある)
終盤になるまで二人の関係性にエモさを感じきれなかったのが、
このドラマに主観的にハマれなかった原因なのだと思いました。
で、ようやく二人寄り添って幸せになれ…と思えるようになった矢先、あのラスト。
ふざけんな!ってなったわ(笑)
●なぜ直季を死なせなければならなかったのか
上述の通り。
最終回は11話に負けない出来だったと思いますが、
直季の死だけは理解できないし、受け入れられません。
なんだろう、バナナフィッシュに影響されたの?
殺すなとは言いません。
でも、登場人物を死によって退場させるならば
それ相応の正当性が欲しいのです。
その死によってなにかを感じさせてほしいのです、こちらとしては。
ドラマの最終回に、誰かを死なせるのは結構ありがちです。
これまで私が見てきたドラマのなかで、誰かが死ぬ最終回一覧はこちら。
『高校教師』
『白い影』
『白い巨塔』
『僕の生きる道』
『ストーカー逃げきれぬ愛』
『華麗なる一族』
どれも最終回泣きました。でも、死ぬ展開に対して
「はぁ?」と思ったのは、『眠れる森』だけです。まじで。
『高校教師』は、死んだのは3人だっけ?
でもどの死も、やっと楽になれる死なんですよ。
羽村先生と繭の死は、ある意味ハッピーエンドであると思っています。
だから、最終回のラストとして大いに意味がある、素晴らしい展開じゃないかな。
『白い影』『白い巨塔』『僕が生きる道』は、主人公が死ぬ系。
でも前者は元々が余命いくばくもない医師という役設定だし、
財前もまた治る見込みのない病気によって無念の死という展開。
『僕が生きる道』なんて、余命1年って設定なんだから、むしろ治ったら怖いよ。
最終回で死なせなくても、身も蓋もない言い方をすると、いずれ死ぬんですよ。
それならば最終回で死なせてあげて、そのときに
たくさんのメッセージを残してあげるのが優しさというもの。
『白い影』も『白い巨塔』も『僕が生きる道』も、最終回秀逸だったでしょ?
『振り返れば奴がいる』は、主人公が殺される系。
でもそれまでに、司馬先生は相当悪いことをやっていたし。
石川を助けられなかったことに打ちひしがれている司馬先生を、
司馬先生の手によって病院を追われた平賀が刺す…。
完璧でしょあのラスト。急遽思いついたとは思えない
『ストーカー逃げきれぬ愛』は、実質主役である
ストーカーが自ら命を絶つラスト。
でも、『ストーカー逃げきれぬ愛』を全話見た人なら分かると思うのですが
彼が死を選ぶというのは納得の展開でした。
どうあがいてもヒロインからの真の愛を得られないと分かっているのに
彼女を追い続けるのをやめられない自分。
あまりにも苦しかったがゆえに死を選んだ。
その死は、彼女を解放するための死だったのか
彼女に永遠に自分のことを覚えてもらうための死であったかは
明言はされていませんが、どちらともとれるラスト。
このなかで、キムタク関連だと
今回は「キムタクが演じた役が死ぬ」作品を
”キムタク不憫三部作”と位置付けて、3つに絞って
その展開の正当性について比較してみたいと思います。
最終回でキムタクが演じた役が死ぬドラマ一覧です。
SPドラマや映画も含めると他にもあった気がしますが
今回は”キムタク不憫三部作”に焦点を当てましょう。
『華麗なる一族』の場合、原作がありますんで、
キムタク演じる万俵鉄平が死ぬというのは既定路線です。
では、その死によってどうなったかを考えてみると
鉄平の死によって、父親である大介と息子の鉄平は、
正真正銘血の繋がった家族であるということがわかりました。
そして、大介は初めて息子の鉄平(の亡骸)に笑いかけてくれたという
哀しくも素晴らしいシーンができあがりました。
そして、鉄平の遺志を憂慮し、大介は長年の愛人であった相子に暇を出し、
万俵家は平穏を取り戻すことになったのです。
どうですか?彼の死に意味はあったでしょう。
そうでなくても、『華麗なる一族』という作品の大きな柱である
父と子の愛憎、その結末として、
これ以上残酷でドラマチックな展開があるでしょうか、いや、ない(反語)
妻と自分の父親である万俵敬介の子供ではないのか、という疑念をずっと抱き続け
息子である鉄平にやさしくしてこれなかった大介。
銀行再編で生き残るためとはいえ、鉄平の夢まで潰してしまった。
しかし、必ずしもそれが正しかったこととは限らない。
鉄平を失って初めて気づく大切な家族の喪失。
これまで顧みてこなかった家族というものへの後悔。
北大路欣也さん演じる大介が、鉄平の遺書を読みながら
彼の亡骸に縋りつき、微笑みかけるシーンなんて、わしゃびちょびちょに泣いたよ。
良いドラマだった、最終回に文句なしだよ。
『空から降る一億の星』の場合、ミステリーとしては
『眠れる森』とは比べるレベルになかったです、正味な話。
ただ、キムタク演じる役の展開については
これ以外なかったと思います。死ぬしかなかった。
彼が演じた役、涼という役名ですが、
涼は刑事の妹である優子と禁断の恋におちて唯一心を開ける存在になるわけです。
しかし、その二人は実の兄妹であることがわかり、
さらに妹の優子はそのことを知らずに、涼が自分の兄(明石家さんまさん演じる刑事ですね)を危険に晒している、私は利用されたんだと思い込み、涼を撃ち殺してしまうわけです。
リアルタイム以来見ていないので、詳細はあんまり覚えてないけど
概ねこんな感じだったはず。
そのあと優子は真相を知り、後追い自殺、だったかな?
こんなもんね、生きてる方が辛いから!
『死ぬ』ことより『生きる』ことの方が辛いこともある、って
『金田一少年の事件簿』で緑さんも言ってたから!
だから、彼が演じる涼が死ぬ結末は納得です。
何なら愛した女性まで一緒に死んでくれたのだから、
ずっと孤独だった涼にとっては、ある意味ハッピーエンドですらあるかもしれない。
(いや、それはちょっと言いすぎか…?)
何にせよ、死ぬ以外に結末はなかったと思います。
で、問題の『眠れる森』。
なんだこれ?
キムタク演じる直季が死んだことで、いったい何の救いがあるってんだ。
いったい何のカタルシスがあるっていうんだよ!ええっ?!
ワタクシ頑張って頑張って屁理屈をこねくりまわして
納得しようと思ったんだけど、どうもすっきりしない。
どう考えても、直季を死なせる意味がない!見当たらないのです。
彼が死ぬことで何が生まれるのさ。
直季は死ななきゃいけないほどの悪いことはしてないぞ。
直季が死んでも、あれだけ不幸な生い立ちの実那子がさらに悲しむだけ。
ずっと苦しんできた直季の父がさらに苦しむだけ。
そんなの見たくてドラマ見てきたわけじゃねえぞ!
実那子には幸せになる権利があるはず。
これまで不幸続きの人生だったんだから、
揺り戻しとして静かな幸福だらけの日々でもよかったはずなんだよ。
たとえば!たとえばだよ、
死ぬにしても、実那子のそばで息を引き取るとかあるじゃん。
ドラマ版『ガラスの仮面』みたく、意識不明状態になった愛する人のそばにいて、
目覚めるまでずっと見守っていく、みたいなのもできるわけじゃんか。
ちなみに、ドラマ『ガラスの仮面』の結末は、
マヤがキスをしたら速水さんが目覚めてハッピーエンドです。
原作の完結が絶望的なんで、ドラマ版の最終回で
脳内補完しているガラかめファンは多いと思う!
『眠れる森の美女』はお姫様がずっと眠っていたんだろ?
ならば逆に!逆に直季がずっと眠っていて、そんな彼の目覚めを待つ実那子、
という結末でもよかったはず。
なんで!あんな孤独な死にするかなあ!
話を盛り上げたいがための安易な死は、萎えるなあおれ!
ミスチルの『HERO』を100回ぐらい聞いてきてほしいもんだよ!
いくらタイトルバックの答え合わせバージョン流して
視聴者を煙に巻こうとしても、おれは巻かれないよ!
萎え萎えの気持ちは回復しなかったわ!
この結末考えたやつ連れてこい!グーパンしてやるから!
と思うけど、残念ながら脚本の野沢尚氏は若くしてお亡くなりになっているから、
怒りのグーパンも、できねえし。やりきれませんな。
ということで、あの後直季は意識不明状態になって入院、
実那子がちょくちょくお見舞いに来て
直季の父と共に寄り添いながら目覚めを待つ結末になったんだと、
勝手に脳内補完することにしました(笑)
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見て損は無いドラマだと思います。
美男美女揃いで映像も綺麗だし、展開も息をつかせないし。
序盤3話ぐらいがちょっと退屈かもしれないけど、そこを抜けたらもうイッキよ。
まあ、個人的にはこのドラマに関して最後に何か言うとすれば
よく出来たドラマだけど、ミポリンもキムタクも、
このドラマよりもっといい主演ドラマあるよ
って感じですかね(笑)
おそまつさまでした!