今週は様々な別れが描かれた回でした。
お母様との別れ、森さんとの別れ、世津子さんとの別れ、そして自由との別れ。
サブタイトルの『別れの曲』に
相応しい内容だったと思います。
なんか、哀しかったよな…。
これまで、自由で、明るくて、
ふわふわした呑気な雰囲気だったのに。
それだけに、今週の回は見ていて堪えた。
美佐お母様、あんなに元気だったのに、
危篤との知らせを受けてあぐりたちが駆けつけたときには、もうすっかり生気を失った顔。
その表情が本当にリアルで、
今にも天国へ行ってしまいそうで、
何回も言うけど、松原智恵子さんの演技すげえと思いました。
あぐりがお母様の日記を読んでしまうシーンなんか、眠ってる美佐さんの姿が、本当に見てて辛かった。
結婚が決まった五喜の花嫁姿が見たいというお母様の悲願を叶えるために、
病室に花嫁姿の五喜や礼服姿のあぐりたちが現れるシーンは、もう、泣いたわぁ。
美佐さんが亡くなったあと、
久しぶりに木に登って空を見上げるあぐりの瞳には涙が滲んでいて、
ここでも泣いたわぁ。
あぐりを演じる田中美里さんの表情が、良かったよなあ。
きっと、お母様からの「転んだときはまず空を見上げなさい」みたいな教えを思い出してたんだろうなあ、とか、
10代の頃とはまた違った空に見えているんだろうなあとか、そんなことを考えさせる、
そんな大人のあぐりの表情だったよね。
足プラプラからカメラ映すな!一瞬誤解するやんけ!と思ったけど
そして、森さんとの別れ。
美容院2階のベランダ?で
暗闇を見つめながら
エイスケさんと語らうときの森さんは、
国を憂い、未来を憂う、
エイスケさんの師そのものでした。
真面目トーンの森さんは、中の人森本レオなので、
まあ、当たり前のように声が良い。
ずりぃよな、この役!
このドラマ全体に言えるけど、
説教臭くなくメッセージ性を挿し込める
真面目さと不真面目さのバランスが素晴らしいと思うんすなあ。
国家幻想論なるものを発表して
姿を消した森さん。
実は世津子さんに匿われてて、
世津子さんもまた特高に追われる身に。
それを察知し、いろんな人に別れを告げ消えていくシーンが、どれも儚く、美しくて、悲しかった。
なかでも、お座敷で鈴音ちゃんが金毘羅船船を歌い、エイスケさんと燐太郎さんが聞いているその裏で、世津子さんがお別れを言うシーンは出色。
演出も、出演者の演技も、
音楽も素晴らしかったよね。
特に、世津子さんを演じる草笛さんの鬼気迫るような演技。
まるで絞り出すような惜別の言葉と、
「死ぬなよ!絶対に死んじゃダメだよ!」
と思わず追いかけて言ってしまったエイスケさんへ
「当たり前よ!」
と精一杯の笑顔を返した世津子さんの姿は、
いろんな意味で胸にキたよなあ。
これがエイスケさんとの今生の別れになる、
って分かってるからこそ、
悲しみや切なさもひとしおでした。
「婦人現代」最終号によせた
世津子さんの編集後記。
大正14年、小さな産声をあげて創刊した『婦人現代』が今、その幕を閉じることになりました。
自由を謳歌した時代はすでに遠い昔です。
今は、さえずることさえ許されぬ
カゴの中の小鳥のように、
多くの文士たちが言葉を奪われている。
しかし、私達はこの誌面を通じ、断じて宣言します。
必ずや、この暗闇の時代にも終焉が訪れんことを!
その時こそ、血を流し力尽きた多くの文士たちが再び、必ずや折れた筆を手にして読者諸婦人の前に現れることでしょう。
その日が来るまで、その時が来るまで…。
『婦人現代』万歳!自由万歳!
この熱き願いがかなうのは、
しばらく先のことになるのですが、
その頃にはエイスケは…。ウウッ。
つれぇ…つれぇわ…。
そんなエイスケさん。
今週もまた振り幅がすごかった。
淳との温泉旅行に愛人を参加させ、
あぐりや淳を落ち込ませたときには、
エイスケさん好きの私もさすがに
ふざけんなやボケッコラッ!
てめえおんどりゃあ!
やっていいこととわるいことあるやろが!
と口汚く罵ってしまいました。ガチで。
その後、あぐりとの仲を心配している美佐さんに
「あぐりと結婚してよかった、これからも大事にします」
みたいなことを言うんですけど、
まだダメージが残ってるこちらサイドとしては
ホントかよ、こいつ口うまいからな…。
というかあぐりの退学騒ぎのときも思ったけど、あんなガッツリあぐりに見られてたら、エイスケさん気づいてて言っとんちゃうんか…?
とか思っちゃって(笑)
素直にジーンときちゃうあぐりに感心しました。
これぐらいのタマじゃないと、
エイスケさんの妻はつとまらんよなあ!
その後あぐりあっちゅーまに妊娠&出産。
和子が生まれるわけですけど、
和子の沐浴のために毎日18時に帰ってきて、19時に帰っていくうっきうき状態のエイスケさんの姿がおかしくてな。
あ~これ絶対史実だろうなと確信したんですけど、どうなんでしょうかね?
あぐり美容院3人組(辰子さん、とめさん、沢子ちゃん)がそれをうっきうきで観察しているのもウケる。このメリハリ、見習いたい。
だけど、プロレタリア作家の川原くんが
特高からの拷問によって廃人化したのを目の当たりにしたぐらいから、
エイスケさんはほぼずっとシリアスモード。
自分の自由と同じぐらい、
他人の自由も尊重するエイスケさんだからこそ、
川原くんの姿にショックを受けたんでしょうね。
第一週から、
暗闇の街が見えていたエイスケさん。
その暗闇がどんどん濃くなり、
世界全体を覆い尽くそうとしている。
元々ナイーブな人ですから、その暗闇の世界下でも、小説を書くことで彼は自由に羽根を伸ばして生きられていたわけです。
でも、今度の暗闇は、
小説を自由に書くことすら奪おうとしている。
森さんや世津子さんは生きるために逃亡し、
自由と夢の象徴であった「婦人現代」は最終号を迎えるしかない状況に追い込まれ…。
それがエイスケさんには
耐え難くてたまらなかったのでしょう。
野村萬斎さんの演技が、素晴らしいよね。
飄々とした姿、傷ついた姿、揺れる心、元来の優しさや儚さ。そして美しさ。
エイスケさんの全てを体現しているというか、もはや憑依していると言ってもいい。
暗闇の時代に、エイスケはどう生きるのか。
それも、次週以降の見所となるでしょうね。
次回予告担当は民ちゃん!
二・二六事件来ちゃうか?来ちゃうのか?
来週は淳之介メインみたいなので、
気楽にのんびり一息つきながら見たいんですけど!!
第十六週が悲しく切ない内容だっただけに
力抜いて見たいんですけどぉ!
つーか斗真!!斗真じゃんけ!
待ってたぞ斗真!!
おれっち斗真は『あぐり』で初めて知ったんだ!
今じゃ、あんなに立派になっちまってよ…。
(親戚並の感想)
つーか、田中美里さんと生田斗真くんは、
8歳しか年齢変わらんこと最近知ったんだけどさ。
嘘だ!!と、おれっち驚愕しましたよ。
田中美里さんは大人びてるし、
斗真は子供びて…なんていわねえか。
まだ幼いよねぇ、この頃は。
そういえば、和子妊娠出産の回は
今週数少ないほぼコントコメディ回でしたね。
リアル和子な平山先生が、
妊娠中のあぐりに「次は女の子よ。可愛い女の子」というシーンとか、
お義母さまのバイオリンであぐり産気づくとか。
シリアス週でも笑いを忘れないその姿勢、
見習いたい。