The King with Donkey Ears

ドラマ視聴素人の感想置き場。自分のために書いてます。

【ネタバレ】『澪つくし』のショッキングな展開について

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おしん』から始まった
80年代の名作朝ドラ再放送(7:15〜7:30)も、
おしん』(83年)、『はね駒』(86年)ときて三作目。



澪つくし』(85年)も相当評価が高く、
見る前から楽しみにしていました。


懸念されていた(楽しみにしていたとも言う)
主演の沢口靖子さんの演技も、


そんなに言うほど悪くないじゃん、
むしろ良いじゃん!と

すっかりメロメロになりました。
どれだけハードル下げてたんだよ。

田中裕子さん、斉藤由貴さんときて、
見比べちゃうかなぁと思ってたんだけど、
これは嬉しい誤算です。

かをる可愛いよなぁ、健気で一生懸命で!
少なくとも好きになれるヒロインなのは
間違いなしですね。
可愛らしいなぁー可愛らしいなぁーとつぶやきながら見ています。もはや変質者てす。



ただ、見進めていくうちに、
ただの純愛物語だと思っていた作品が、
おしん』並み、ある意味それ以上の
衝撃的な展開を次々と迎えるものだから、
見ているこっちは、どんどん呆然状態へと陥りました。


もしかしてこのドラマ、
第1回から第60回の話って、
ただの序章だったのでしょうか。

第60回のエピソード、
私はものすごく好きなんですけど。
澪つくし』ベスト回認定してたんですけど。



もしかして、このドラマは
純愛物語を皮をかぶった、
社会派サスペンスか何かでしょうか。
ドロドロドラマなんでしょうか?


そんな疑念を持ち続けたまま、
初回から最終話まで一気に
深く噛みしめることなくぶっ通しで見たのですが、
ここまで情け容赦なくやるのか、と
脚本担当のジェームス三木氏の手腕に
畏怖にも似た感服を致しました。

脚本家の女傑が橋田壽賀子氏なら、
豪傑はジェームス三木氏でしょうね。
間違いなく。

そりゃジェームス三木なんだからただの惚れたはれただけで終わらすわきゃなかったわな。


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この記事は、怒涛のショッキングな展開に接して、あまりにも色んな感情があふれ出して来て止まらないので、一度まとめておきたいがゆえのものです。
もちろんネタバレ満載、ネタバレしかないので
初見の方はご注意ください。























衝撃的な展開(映像)ランキングトップ5

ここからは、全話ある程度見て、
あまりにもギョッとした、ショックだった展開のランキング発表と、その感想です。



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●梅木さんが自分のことを慕うハマを無理やり押し倒し、ズルズルと都合のいい関係を続ける、その後あっさりかをると結婚

(第101回〜)





こんなの!こんなの梅木さんじゃないやい!

と、見てる自分の目を疑いました。
あれは夢だったんだろうか?

あまりにもビックリして、自分の目を疑って、
ちょっと見返すのが怖いんですよ。

だって、私の記憶が正しければ、
梅木さん、モノみたいに扱われた鬱憤を、
ハマさんを押し倒す形で晴らしてましたよね?
密かに自分のことを慕ってくれていたハマさんに、鬱憤ぶつけてましたよね?
見ていて信じられなかった。
記憶違いだと思いたい。

しかもそのあと、ズルズルと関係を続けて、
かをるとの結婚話が持ち上がると、
ハマさん切り捨てませんでしたか?気のせいか?

えぇ…と思いましたよ私。
別人格梅木さんなのか?埋木ですか?

それとも私が何か見落としてるのかな。
怖くて怖くて、見返せないんです
あそこらへんの回。勘違いであってほしい。


そして晴れてかをると結婚できた後、
惣吉さんが帰ってきて嫉妬と劣等感に
支配された梅木さんは、ハマさんとのことかをるに言っちゃうしね。
おい、おい…。なんだよそれ…。

見てて気の毒ではあるんですよ、
かをるは明らかに惣吉さんのことを今でも愛していて、
梅木さんのことは『子供たちの父親』としか見てない。
惣吉さんのもとに行かないのも、子供がいるから、
今の平穏な幸せを、誰かを傷つけてまで壊したくない思いやりでしかないから。

自分そのものへの愛情を求めてる梅木さんにとっては、こんなに苦しいことはないんだろうなと。


あーでも!!
闇堕ちしてどんどん荒んでいって、
かをるに罵声を浴びせるシーンとか!!無理すぎる!!

柴田恭兵さんの演技がうますぎるだけに余計ね!


なんだろう、記憶違いだと思いたい!

そんな梅木さんだったら
いくら見た目が柴田恭兵さんと言えども
好きになれませんよ!



再放送で1日1話ずつ見れるので、
覚悟してじっくり見極めたいと思ってます、ここの部分は。


●河原畑が水橋と律子を崖から突き落として自分も身投げする

(第96回)

いやあ、ビックリですよね。
まず律子と河原畑が恋愛関係になったことにビックリですよね。
そして水橋が性懲りもなく
律子に近づいてきたのにもビックリだし、律子が性懲りもなく絆されるのもビックリ。

何やってんだよ…。
消えろよ水橋。
律子も何やってんだよ…。
そんなことばっかりやってたら
今にバチ当たるぞ?


と思ってたら、本当に当たっちゃいましたからね。
見てて口あんぐり、って本当になるんだなあと実感しましたよ。


河原畑はきっと純粋に
律子のこと好きだったんでしょう。

だから、水橋にバカにされてるの見たときは
視聴者のこっちも水橋に怒りを感じましたし、
河原畑が気の毒でなりませんでした。


でも、まさか水橋を
崖から突き落とすとは思わんかったよ!

えっ!って声出たからね。
ちょっと息のんだよ。
何なら見てて息が止まりました。


途中から狂気の眼をしてたしね!
石丸謙二郎さんのあんな狂気の眼の演技を見たのは、
銀狼怪奇ファイル』(96年)の首なしライダーの回の犯人役以来ですよ。


それだけならまだしも、
律子も突き落として、自分も落ちてったの見て
視聴者ワタシは茫然自失状態。


え、これ朝ドラですよね。
火曜サスペンス劇場松本清張山村美紗
何にせよ朝ドラを逸脱してないかコレ。


しかもこれ、土曜日分の回だから、
リアルタイムでは3人がどうなったのかは
月曜まで分からなかったようです。

すごいことするなあ。躊躇がないな。
心臓がドキドキしているのを感じながら、
すごいなこの脚本、朝ドラとは何なのかな、と
私は朝ドラの定義にまで思いを馳せました。

それぐらい、ビックリする展開でしたね。

この展開のあとに、
久兵衛が律子を何処かに隠しておこうとしていて、
英一郎がぼそっと「お父さんの血筋じゃない?お父さんも何人も愛人囲ってんじゃん(笑)」みたいな台詞があって、それは笑ったなあ。
久兵衛即鉄拳食らわしてて、
そのあまりの鮮やかさに。

笑うシーンじゃないんですけどね。


久兵衛がボケ始める(認知症)

(第153回)

澪つくし』のもう一人の主人公、
柱というのかな、それって久兵衛だったじゃないですか。

どんなにかをるや律子や英一郎、
梅木がやらかしても、
久兵衛がしっかりとどっしりとしていたから、
どこか心の底で安心して見ていられたと思うんですよ。

だから、久兵衛がすっかりおじいちゃん状態になって、かすかにボケの症状が出るようになってて、すっかり小さくなった背中の彼を見て、
ものすごくショックというか、
見ていて絶望感を感じましたね。

津川雅彦さんの演技がまた、本当に目が虚ろで、手が微かに震えていたりして、
無性に怖かったです。




●最終週にメインキャラが4人(久兵衛、るい、律子、梅木)死ぬ。あとるいと律子の死に顔が金田一耕助シリーズの被害者みたいな顔してる

(第157回〜第160回)


何も、最終週にメインキャラ4人殺すことないじゃん、
と私は思いましたよ。

散らせ散らせ!
散らさんかい!


まぁーとにかく見ていてどんよりとしました。


まず空襲でるい即死。

あのさあ、死に顔怖いよ。
目見開いてて怖いんだよ!こっち見てるしさ!

即死なら仕方ないのか…。


そして久兵衛も、かをるとしばし語らったあと
かをるに一服したいと言ったあとに死亡。

お二人の熱演のぶつかり合いもあって、
何十回見ても涙不可避のシーンです。
(はだしのゲンの政二さんみたくなってる久兵衛が痛々しいったらない)

このシーンは、津川雅彦さんもだけど、
それより何より沢口靖子さんの演技が
とにかく神がかっていたと思います。
このシーンというか、この回かな。

すごいを通り越した、神がかり的な演技。
技術とかそういうのを通り越した、
憑依ってこういうことか、と感じましたね。

たった1話分で、かをるは父も母も失うことになるんだけど、
かをるの凛とした強さをこれほど感じた回は他にないんじゃないかな。
それぐらい、心を打たれました。


久兵衛とるいの死の悲しみにくれてる暇もなく、
今度は律子が満州から重症の肺結核を患って帰国。

死相が!死相が出ちゃってるよもう!



律子とかをるが語らうシーンも、
ものすごく心が震える素晴らしいシーンだと私は思う。

父は私を恨んでいたでしょうね、
との律子の言葉に

そうではない、お父さんはずっと
律子さんのことを案じていた、
死ぬ間際にも、私の手を取って「律子、よう帰ってきたな」と言っていた、

と伝えるかをる。

それを聞いて、初めて律子が父への素直な愛情を語るところは、
かをる役の沢口靖子さんの演技ももちろん素晴らしいんだけど、
なんと言っても桜田淳子さんの熱演から目が離せませんでした。

お父さんに会いたかった、
会ってこれまでのことを謝りたかった。
逆らってばかりいたけど、私はお父さんのことを愛していた。
子どものころ、1年の半分銚子に行ってしまう父が憎くて、恋しくて、私はきっと寂しかったのね…

とポツポツと言う姿に、
かをるも見ているこっちも、どんどん涙が溢れてきました。
というか私はダダ泣きしてたんですけど。


似た者同士故にぶつかり合って、
素直に愛を確かめ合うことができなかった父と娘の関係を思い、
見ているこちらが胸がいっぱいになってしまいました。すごいなぁ。

脚本が一流で、役者も演出も音楽も一流だと
こんな素晴らしいものが見れるんだなあ。


その後英一郎が帰ってきて
3姉弟揃って和やかな雰囲気にして
安心させといて、の律子の容態急変。おい!


ここでね、律子がかをるに
「お姉さんと言って」
って頼むシーンが、またものすごく泣けてね。

どんなに複雑な家庭環境でも、
律子は素直にかをるのことを
妹として愛していたんだなあって、
でもかをるが自分のことを姉だと慕ってくれてるかどうか、自信なかったのかなって、色んなことを考えました。

そして、なぜか目を見開いたまま絶命。え?


おい。
だから怖いよ。
怖いっつってんの。
金田一シリーズの死体じゃないんだからよ。


即死のるいはともかく、律子は
目を閉じて綺麗に死なせてくれよ。

そういう邪念あふれる感想が
思わず頭の中に浮かんでしまう、
私にとっては怖い死に顔でした。

良いシーンの連発だったのに!!



そしてまだまだ!
梅木さんも死ぬよ!
どんだけ一気に殺すねん。

まず夢で久兵衛、千代さん、るいさん、律子さん、梅木さんが出てきて、何か意味深。

いや、もう意味深っていうか、
梅木さんも死んだのね、
と見てるこっちは悟れる予知夢。

軍事用醤油工場のために梅木さんとともにセブ島に向かったジェームス息子から
遺骨と手紙らしきものを受け取るかをる。

手紙には、「かをる、私は」
と書いてありました。
おい!!
遺書すら遺させてくれんのか梅木さんの最期!!
まあ見ていて泣きましたけど!
なんとなく泣いたけどさぁ!



何とも気の毒な最期だったけど、
自分の子供を遺せただけ
ラッキーじゃんって感じなんですかね。
ジェームスは非情だね。



最終週は、とにかく疲れました。
あまりにもガンガン死なせていくし、
るいさんと律子の死に顔は
金田一シリーズみたく怖いし。
それでも、ラスト2話で見事にまとめたのは素直に感嘆です。

私はあの最終回好きなんです。
ああするしかないだろうとも思いましたしね。
惣吉さんからの求婚に即答で応えるのは
父の遺志を引き継いで醤油を作る、
入兆再建に尽力を尽くす!と決意した
かをるらしくないですし。


ロミオとジュリエットは、
二人とも死んで終わりでしたが、
澪つくし』は二人とも生き残る(けどしばらく結ばれない)終わり方。
陸者と海者の和解もちゃんと描いているし、
概ねいい最終回でしたよ。

要は、かをると惣吉さんって、
タイタニックのローズとジャックみたいなものだと思うんですね。
惣吉さんは驚異的な生存能力を持っているので、死にませんでしたけど。

かをるもまた、惣吉の誠実さに報いるために
梅木や子供たちや家族と幸せになるよう努めた。
でも、死ぬ間際に思い出すのは
きっと惣吉との思い出なんだろうなって。

挿入歌の恋のあらすじバックに
これまでの回想シーン流れたら、
そりゃあずっと見てきたこっちはジーンとくる。
三つ編みおさげの幼かったかをるが、立派な大人の女性になっていく。
回想シーン見てて、とても感慨深かったです。

紅白歌合戦澪つくしコーナーは、
さしずめタイタニックのエンディング前、
ローズが皆に祝福されながら、ジャックと大団円を迎えるあのシーンみたいなものでしょう。

見ていた人たちが望んだ結末。


沢口靖子さん、本当に頑張ったよなぁ。
ところどころ台詞回しは危うかったけど、
決して棒ではなくて、一生懸命頑張って、
演技とかそういうレベルを超えて、
かをるそのものになっていました。


最終週の彼女の演技を見て、
それでも棒だと言うならば、
それは見ている側の偏見でしかない、
と私は断言するね!


●惣吉さんが遭難、記憶喪失に

(第102回)

おそらくリアルタイムで見ていた人は、
相当驚く展開なんだと思います。

でも、自分知っちゃってるから。
何ならWikipediaであらすじググる前から何となく知っていたぐらい、惣吉さんの遭難ネタは有名だったから。

だから、そんなにショックは受けなかったなあ。
実際流れでちゃんと見たら、
あまりにもかをると惣吉さんが可哀想で、
胸がちぎれそうになりましたけどね。
二人で旅行に行って、念願の赤ちゃんが出来て、幸せの絶頂のときに遭難ですから。
おしん』の関東大震災前と後みたいな天国と地獄の描写。
本当に情け容赦ないなと思いましたよ。

惣吉さんが帰ってきてからは、もうひたすら辛くて苦しい展開。

特に惣吉さんがあまりにも可哀想。
かをるや梅木さんも辛いけど、
まだ得たものもある。

でも、惣吉さんは愛する妻を失ってしまっただけ。
かをるから「今の幸せを壊さないで」とか割とひどいことを言われているのに、
怒らず静かにかをるの幸せだけを
考えている惣吉さんが完璧すぎてな。
はぁーー。




次点
●赤川とツエが婚約


おい、ツエさん何歳だよ!
ハマさんと同年代とかじゃないのかよ!
そして赤川は何歳だよ!
わっかんねえな!



終盤で二人が夜密かに会ってたり、
求婚されたとかいう展開になったり、
婚約だ!という流れになったときは、
さすがに「えっ?」と声が出ましたね。

お疲れ様でしたみたいな労いの意味での展開だったんでしょうか…。

このドラマ、
年齢設定が謎なキャラがチラホラいるのです。

梅木さん、ハマさんあたりは、
中の人が老け顔タイプなので、
見ていて混乱します。
ツエさんは、結局何歳だったのだろう…。
ジェームスに聞いてみんことには、
謎は謎のままです。







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この他にも印象的だったり
泣けるシーンはあるのですが、
とにかくショッキングな展開について語りたかったので、この記事はここまでにしておきます。
面白いことは間違いないから!!