ついにこの週が来てしまったね。
リアルタイム当時は、あまりにショッキングな急死に呆然となって、子供心に悲しくてしょうがなかったのを覚えています。
あまりにも衝撃的で、エイスケさん退場以降の展開ほぼ覚えてないっていうね(笑)
再放送となった今回見返してみても、
これはなかなか心抉ってくるなあ…と感じました。
大人になってから見ると、
尚更辛いかもしれないですね。
ただ、土曜日回は爽やかに前向きに終わったので、救われた気分にはなりました。
「エイスケ死す」と週タイトルで
どストレートにネタバレしてるので、
視聴者サイドとしては、
いろんなこと考えながら見るんすよね。
小説を書くことを捨て株に走る成金エイスケさんの姿は痛々しい。
そのエイスケさんの心情を慮って
燐太郎さんやあぐりは苦言や励ましたりを試みるんですけど、
それを聞いているエイスケさんの表情もまた、
見ていて苦しくて切ない。
(小説を)書けなければ生きている意味がない。
肋膜炎で危篤状態になったあぐりの病室で、かつてエイスケさんが燐太郎さんに吐露した内心。
それぐらい、エイスケさんにとっては小説を書くことが命を滾らせることだったんですよね。
自由と同じぐらい、小説を書くことが大好きだった。
それが、時代の波に押しつぶされて
自由を失った今、彼は生ける屍のようになってしまった。
書きたいことを書けないなら書く意味がない。
苦悶と自問自答の坩堝の中で、彼は筆を折ってしまったんだろうなと思いました。
また、エイスケさんは泣き言や弱気を
めったに人に見せることはありません。
妻のあぐりにすらも。
これは私の推測なんですけど、
多分エイスケさんにとって、あぐりは
眩しい憧れの存在であり、自分が巣に帰るときに、変わらずにそこにいてほしい存在なんじゃないかなと思うんです。
絶対に変わってほしくない人。
エイスケさんはダダイストという性質上、
変人を極めたい自由を愛する人で、
あぐりは真の変人で自由人。
ある程度意識して変人を演じているところがあるエイスケに対して、あぐりは本物。
だから、別荘をプレゼントしたとき
あぐりが表情を曇らせて「私達、このままでいいのかな?」と言い出したとき、
「立ち止まるなよ。僕のことは気にしなくていいから…」
と言ったんだと思います。
君は何も変わってないよ。
だからこれからも変わらずに前を見続けていて、と…。
エイスケさんにとっては、、それぐらいあぐりの存在は何かの救いになっていたと思います。
ここらへん、二人の心のすれ違いが、
これまた見ていて切なかったわぁ。
エイスケさんが、母に
バイオリンを(弾いて)聞かせてくれ、
と言ったシーンも良かった。あてふり丸出しだったけど
すっかりうまくなった母のバイオリンを聞きながら、
彼は何を見つめていたのか。
何を思いめぐらせていたのでしょうか。
このときのエイスケさんの表情がな!!
絶妙なんよ!!!!
こっちは彼が死ぬのわかってるから!
エイスケさんの心境を色々!!
想像しちゃうんよな!!
野村萬斎氏のこういう繊細な表情の演技が、
全編に渡って、神がかっていたと思います!!
エキセントリックだけじゃないんだよエイスケさんは!
エイスケさんが岡山に戻って、
父親と最初で最期の酒盛りをしたシーンも、
なんだか、ものすごくグッときたんよな。
『あぐり』のなかでもこの場面は、
トップ5に入る名シーンだと思います。
心労と不摂生ですっかり顔色も悪くなり
無精髭まで生やし、今にもふっと消えてしまいそうな、
退廃的な雰囲気までまとってしまったエイスケさん。
父に向かって、廃嫡を申し出る姿は
いつもの飄々としたところは微塵もなく、
真剣そのものでした。
でも、御大はそんなエイスケさんからの申し出を鼻で笑って却下。
ここでさぁ、もうすでにウルウルしたわけよ!
エイスケさんの真剣さを悟ったうえで
当たり前のように即却下する!
御大の器のデカさに!
見てるこっちは胸がジーンとなったのよ!ウウッ!
これまで子供のことで
夜も眠れないなんてこと、ありましたか?
と問いかけるエイスケさんも良かった。
この場面はね、いっぱい鎧をまとって
見せないようにしてきた、知られないようにしてきた彼の本質というか、無垢の姿を見たような、そんな気持ちになりました。
彼はきっと、背伸びをやめたら、
ナイーブであらゆることに敏感な、
ただの青年に過ぎないんじゃないかなあ。
ただ、世界の「暗闇」に気づいていて、
その「暗闇」を振り払いたくて自由を求めていた、
そんな人だったんだと思います。
僕は、小さい頃から世の中のあらゆるものから
自由になりたくて、お父さんの手の中から
飛び出してばかりいましたよね。
でもね、今じゃ、僕もどこにでもいる
一人の父親ですよ。
親なんて、子供の人生の前じゃ、
臆病で無力で…本当に不自由な存在なんですね。
この言葉は、エイスケさんの父親への
これまでの行いの謝罪のようにも聞こえました。
とにかく自由を求めて、子供は子供で、親に干渉されるものではない、と主張し続けたエイスケさん。
そんな彼が、淳之介が腸チフスで死にかけた今、「父親」の息子への気持ちをやっと理解できたんですから。
これを聞いているときの
御大の表情もすげぇ良かった!
かつての自分と同じように、
子供の人生で悩んでいる息子が、
愛おしくてたまらなかったのでしょうな。
僕はお父さんにとって
親孝行な息子ではありませんでしたね!
とおどけるエイスケさんに
お前ほどの親不孝はどこ探してもおらん!
でもなエイスケ、今のお前は親孝行じゃ!
と笑ってみせる御大…ウウッ。
なんか、本当に心通わせた感じで、
良かったね良かったね…と思うと同時に、
これが最期の…とウルウルしましたよ。
だって、死ぬことわかってんだもん!!
エイスケさんが死ぬって見てるこっちは知ってるからさあ!!
エイスケさんも、御大も、
幸せそうにすればするほど、
見てるこっちは胸が苦しくなるのよ!!
つれぇ…つれぇわ…。つれぇんだわ…。
今週はウルウルしてばっかりや。
でも語らずにいられへんねや…。
ちょっと、後半に分けます。
語りだしたら止まらんので!
パーマネント自粛の流れになってきた、
というのはわかったけど、
だからって代用の髪型がみずらは、
いくらなんでもねぇやろ!何時代に逆行だよこれ!